GoToトラベルの経理処理
更新 2020/11/17
政府の観光支援事業として始まったGoToキャンペーン。
10月より東京都が発着の旅行も対象とされたため、利用がさらに増加すると見込まれます。
このような中で、会社の出張など、旅行とは異なるものであってもGoToトラベルは利用できていましたが、11月6日以降の販売分よりビジネス出張を目的とする宿泊などのGoToトラベルの利用を制限するための措置が講じられました。
ただ、この11月6日より前の販売分については、出張として利用することが可能となっています。
この記事では、GoToトラベルの経理処理について紹介していきます。
1.GoToトラベルの補助の仕組み
まず、経理処理の前に、このGoToトラベルの補助の仕組みについて確認していきましょう。
GoToトラベルは、旅行業者等経由で、期間中の旅行商品を購入した消費者に対し、代金の1/2相当分のクーポン等(宿泊割引・クーポン等に加え、地域産品・飲食・施設などの利用クーポン等を含む)が付与される(最大一人当たり2万円分/泊)ものです。
旅行会社などを経由してこの制度を利用することで、利用者は旅行代金から補助金分を差し引いた金額を支払います。
一見すると利用者が旅行代金から補助金分を差し引いた金額を支払っているため、旅行代金が値引きをされているように見えますが、あくまで旅行代金の一部を国が補助する仕組みであり、旅行代金が値引きされているものではありません。
2.GoToトラベルの経理処理
旅行代金33,000円(税込)で、旅行会社に21,450円支払うケースを例にとり、確認していきましょう。
現金に着目をして仕訳を考えると、次のような仕訳となります。
旅費交通費 19,500/ 現 金 21,450
仮払消費税等 1,950/
ただ、これは正解ではありません。
あくまでも値引きされているのではなく、旅行代金の一部を国が補助しているだけであり、旅行代金の全額が消費税の課税対象となります。
そして、この部分を仕訳に反映する必要があります。
そのため、旅行代金の全額が消費税の課税対象となるようにすると
旅費交通費 30,000/ 現 金 21,450
仮払消費税等 3,000/ 雑 収 入 11,550
という仕訳となります。
旅行代金の全額が消費税の課税対象となる点がポイントになります。
また、これは旅行代金だけの取扱いではなく、地域共通クーポンの利用についても同様となります。
地域共通クーポン3,000円を利用して、手土産代として5,400円(税込)支払うケースを例にとり、確認していきましょう。
旅行代金と同じく全額が消費税の課税対象となるようにすると
交際費等 5,000/ 現 金 2,400
仮払消費税等 400/ 雑 収 入 3,000
という仕訳となります。
地域共通クーポンを利用した場合においても、その代金の全額が消費税の課税対象となる点がポイントとなります。
3.給与課税の問題
GoToトラベルの補助の仕組みについて紹介してきましたが、こちらは国からの補助となります。
そのため、この補助部分が経済的利益に該当し、給与課税の問題が生じるのではないかという問題があります。
結論として、給与課税の問題は生じないと考えられます。
実費弁償的性格に基づく給与所得者の出張旅費、転勤旅費などは所得税法上の非課税所得として規定されています。
この非課税所得となるためには、通常必要であると認められるものでなければなりません。
そのため、その出張が通常必要であると認められるものであればこの給与課税の問題は生じないとされています。
出張旅費規程の範囲内で行われることが一般的だと思いますので給与課税の問題は生じないと考えられますが、著しく高額な出張などの場合には、こういった給与課税の問題が生じる可能性があります。
4.まとめ
GoToトラベルの経理処理について紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。
原則の処理は記載した通りですが、実務では簡便的に補助金分を差し引いた金額で処理をする会社もあるのではないでしょうか。
この金額での処理を課税仕入れ側という目線で考えると、本来仕入税額控除で3,000円の控除があったところを1,950円として計算するため、法人不利な結果となり、税務調査などで指摘を受けることはないかと思います。
指摘を受けることはないとはいえ、本来の金額より仕入税額控除の金額が小さくなってしまいますので、実務での煩雑さはあるとはいえ、原則通りしっかりと処理をしたいところです。
経理実務としては、あるべき処理を踏まえた上で、日々の処理を進めていきましょう。
Go To Eatとは?制度を知ってお得に活用しよう!
Go To Travelは知っている人が多いかも知れませんが、Go To Eatは10月に始まったばかりなので知らない人も多いのではないでしょうか。
今回はそんなGo To Eatについて調べた情報をまとめてみました。
私も利用していますが、外食するのであればおすすめの制度だと思いますので、制度を知ってお得に活用しましょう。
1.Go To Eatとは
「Go Toキャンペーン」の内の一つです。
Go Toキャンペーンは大きく分けて4つあります。
①Go To Travel
②Go To Eat
③Go To Event
④Go To 商店街
Go To Eatは②の部分となります。
Go To Eatは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出の自粛等の影響により、甚大な影響を受けている飲食業に対し、期間を限定して需要喚起を図る官民一体型のキャンペーンです。
2.Go To Eatの種類
Go To Eatには種類があり、大きく2つに分かれます。
①プレミアム付食事券
②オンライン飲食予約
それぞれを詳しく説明します。
①プレミアム付食事券は、10月以降に準備できた地域から順番に販売される食事券です。
その地域でのみ使えるもので、1セット1万2,500円を1万円で購入できます。
購入制限があり、一回の購入当たり2万円分までとなっています。
おつりは出ないもので、販売は1月末まで、有効期限は3月末までとなっています。
プレミアム付食事券は、発行事業者ごとに販売場所や方法が異なりますので、入手したい場合には、その発行事業者からこれらの情報を確認する必要があります。
②オンライン飲食予約は、飲食予約サイト経由で、期間中に飲食店を予約・来店した場合に、次回以降に飲食店で使用できるポイントが付与されるというものです。
昼食時間帯は500ポイント、夕食時間帯(15時以降)は1,000ポイントが付与されます。
ポイント付与の上限は、1回の予約当たり10日人分までで、最大10,000ポイントとなっています。
こちらの期限もプレミアム付食事券と同じく、ポイント付与は1月末まで、利用は3月末までとなっています。
3.オンライン飲食予約の対象サイト
オンライン飲食予約では予約サイトそれぞれで独自のキャンペーンを行っています。
ポイント付与のタイミングや独自発行ポイントなど各社異なる対応となっています。
それぞれの内容をチェックしてお得な予約サイトを利用しましょう。
個人的には、通常の利用であれば「ぐるなび」、ワンランク上の利用であれば「一休」を利用します。
ぐるなびを利用する理由は、来店ポイントの高さです。
1人当たり昼は25ポイント、夜は100ポイント付与されますので、他の予約サイトと比べ、来店ポイントが高くなっています。(食べログも来店ポイントが高いですが、昼は25ポイントとなり、ぐるなびより若干劣ります。)
一休を利用する理由も同じく来店ポイントの高さです。
飲食代金の10%還元となっていますので、高額な飲食であればメリットを最大限に享受できるのではないでしょうか。
ただ、コース予約のみとなっていますので、その点は利用しにくくなっています。
その他の会社では、初回コース利用で20%還元が受けれるYahoo!ロコ、ポイント期限の長い食べログ、対象店舗の多いホットペッパーなどがあります。
いずれにしてもポイントの期限があり、その予約サイトでしか利用できないポイントが発生するため、予約サイトを絞って利用することが賢明ではないでしょうか。
(対象サイト13社)
4.まとめ
Go To Eatについてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
お得な制度であり、TVニュースなどで報道されている「無限ループ」という方法で、最初に一度現金を支払えば、その後はポイントで支払うことで延々とオンライン飲食予約の制度の恩恵を受けることも現在は可能となってしまっています。
制度の趣旨としては、飲食業の需要喚起を図るためというものですので、一部の利用者と店舗のみが制度の恩恵を受けるというのであれば、こちらは制度の見直しが入る可能性が高いので、今後の動向には注意が必要です。
コロナ禍で飲食業は最もダメージを受けている業種の1つだと思いますので、制度を賢く活用して、飲食業を応援していきましょう。
GoToってどうなの?(9月前半まで 1600万人利用 支援額735億円)
本日の気になった事柄です。
日本経済新聞の10月7日の朝刊・経済面に『1600万人利用 支援額735億円 GoTo、9月前半まで』という記事がありました。
内容としては、GoToトラベルの現時点での利用実績と今後の見込みに関する内容のものでした。
私自身はGoToトラベルを利用できていませんが、単純にこの観光支援事業がうまくいっているのかどうかという点に興味があり、記事を読みました。
記事によると、7月22日から9月15日までの間に少なくとも735億円、利用者数は延べ1689万人だったようです。
GoToトラベルの予算は約1.3兆円(トラベル以外も含めた全体のキャンペーンでは約1.7兆円)で、宿泊旅行で7300万人分、日帰り旅行で4800万人分を確保しています。
この利用実績の発表は、観光庁が行っています。
どのような推移で、この利用実績となったのかを調べようと思いましたが別の部分で引っかかりました。
観光庁の発表は「利用人泊数が1689万人泊」という発表で、記事と言い回しが異なり、見慣れない言葉でどのような意味かわからなかったからです。
この言葉の意味を調べていくと、「人泊」とは宿泊人数✕宿泊数のことだとわかりました。
そのため、1人で連泊をした場合には、2人泊となります。
観光業界ではよく言われるような言い回しなのかも知れませんが、個人的には記事にあるように延べ2人のような言い回しの方がわかりやすいように感じました。
現時点では利用が想定よりもやや少ないようですが、10月からは東京都も追加されましたので今後は利用実績のペースが上がるのではないかと感じております。
今後もGoToの情報は注視していきたいと思います。
繰延資産の償却期間
経理実務でおそらく多くの方が触れる繰延資産についてまとめてみました。
1.繰延資産とは
繰延資産と一口で言っても、実は会社法上の繰延資産と税法上の繰延資産の2種類が存在します。
それぞれの内容については、次の通りとなります。
会社法上の繰延資産
繰延資産とは、将来の期間に影響する特定の費用として、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。
創立費…会社を設立するまでにかかった費用(設立時の登記費用など)
開業費…会社を設立してから事業を開始するまでにかかった費用
開発費…新技術又は新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓などのためにかかった費用(ただし、経常費の性格をもつものは開発費には含まれません。)
株式交付費…新株の発行又は自己株式の処分のためにかかった費用(株式募集のための広告費、金融機関の取扱手数料、証券会社の取扱手数料など)
社債等発行費…社債を発行するためにかかった費用(社債募集のための広告費、金融機関の取扱手数料、証券会社の取扱手数料など)
税法上の繰延資産
法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出日以後1年以上に及ぶもので一定のものをいう。ただし、資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。
会社法上の繰延資産+税法独自の繰延資産
会社法上の繰延資産…創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債等発行費
税法独自の繰延資産
公共的施設等の負担金の負担金…商店街の共同アーケードなど
資産を賃借するための権利金等…賃貸借契約時の礼金など
役務の提供を受けるための権利金等…ノウハウの頭金など
広告宣伝用資産を贈与した費用…飲食店における宣伝用ショーケースなど
その他自己が便益を受けるための費用…同業者団体の加入金など
会社法上の繰延資産に税法独自の繰延資産を加えたものが税法上の繰延資産となります。
そのため、税法上の繰延資産の方が会社法上の繰延資産よりも広い範囲の内容となります。
また、会社法上の繰延資産と税法上の繰延資産は、償却期間という点でも異なります。
2.会社法上の繰延資産の償却期間
創立費…5年以内(原則、営業外費用として処理。繰延資産に計上する場合、会社の設立のときから 5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却。)
開業費…5年以内(原則、営業外費用として処理。繰延資産に計上する場合、開業のときから 5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却。)
開発費…5年以内(原則、売上原価又は販売費及び一般管理費として処理。繰延資産に計上する場合、支出のときから 5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により償却。)
株式交付費…3年以内(原則、営業外費用として処理。繰延資産に計上する場合、株式交付のときから 3年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却。)
社債等発行費…社債の償還期限内(原則、営業外費用として処理。繰延資産に計上する場合、社債の償還までの期間にわたり利息法により償却。償却方法については、継続適用を条件として、定額法を採用可能。)
支出の効果に着目して繰延資産に計上することができますが、支出の効果が期待されなくなった繰延資産は、その未償却残高を一時に償却しなければなりません。
3.税法上の繰延資産の償却期間
会社法上の繰延資産…任意償却(繰延資産の額から既償却額を控除した金額を任意のタイミングで償却可能)
税法独自の繰延資産…均等償却
公共的施設等の負担金の負担金…耐用年数✕7/10、5年など
資産を賃借するための権利金等…耐用年数✕7/10、5年など
役務の提供を受けるための権利金等…5年(一定の場合は有効期間)
広告宣伝用資産を贈与した費用…耐用年数✕7/10と5年のうち、いずれか短い年数
その他自己が便益を受けるための費用…存続期間、契約期間、5年など
会社法の繰延資産と同じく、未償却残高を一時に償却できるケースも存在します。
繰延資産とされた費用の支出の対象となった固定資産又は契約について滅失又は解約等があった場合には、その滅失又は解約等があった日の属する事業年度において当該繰延資産の未償却残額を損金の額に算入する。(法人税法基本通達8-3-6)
4.実務でよく処理するケース
新店舗の出店や社宅への入居…賃貸借契約時の礼金などは繰延資産に該当する可能性があります。繰延資産に該当する場合、償却期間を計算するために契約書で賃借期間、更新時における一時金の有無などを確認する必要があります。
同業者団体への加入金…加入金などは繰延資産に該当する可能性があります。通常、加入時には、加入金や会費などを一括して支払うことになるかと思いますので、繰延資産に該当する加入金に他の会費などを含めないように処理しましょう。
ノウハウの頭金等…ノウハウの使用料などは繰延資産に該当する可能性があります。繰延資産に該当する場合、償却期間を計算するために契約書で有効期間、更新時における一時金の有無などを確認する必要があります。
5.処理上の注意点
税法独自の繰延資産については、税務上、必ず繰延資産として取り扱う必要があります。
繰延資産として取り扱っていなかった場合には、所得計算に誤りが生じ、税金を過少に納付することとなり、後日修正申告で追加納付しなければいけないといった事態が生じる可能性がありますので、間違いのないようにしましょう。
少額なもの(20万円未満)については、資本的支出と同じく一時費用として損金に算入できます。
6.まとめ
繰延資産についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
税務上では損金に算入されるまでに一定の期間を要しますが、会計上では一時費用として処理するケースが存在します。
この場合には、会計上と税務上で所得が異なることとなり、税効果会計の対象となる一時差異が生じます。
税効果会計まで考えた場合に、支出した繰延資産となる費用が利益や税金へ与えるインパクトというものを速やかに算出できる人であれば、手に職のある、プロフェッショナルという人であると思います。
一朝一夕にプロフェッショナルにはなれませんが、少しずつでもできる範囲を増やしていき、プロフェッショナルに近づいていきましょう。
マーカーの色で効率アップ!効率がよくなるマーカーの使い方
受験、資格試験など何かを勉強する際には、マーカーを使用する方が多いかと思います。
今回はそのマーカーについて、効果的な使い方を調べてみました。
1.マーカーを使う理由
そもそもですが、なぜ勉強をする際にマーカーを使うでしょうか。
学校で勉強していた時に先生に言われてマーカーを引いていて、なんとなく勉強にはマーカーが必要だと思って、自分で勉強するときにもマーカーを無意識に使っているというような人が少なからずいるのではないでしょうか。
マーカーを引く理由は、その色の部分を目立たせ、授業などの受動的な「聞く」という作業において、集中して聞いてもらうようにするためという側面が強いようです。
この理由だけを踏まえると、マーカーを引くことにあまり意味がないように感じられます。
マーカーを引いて勉強したような気になっていても、実際のテストでは出来が良くないということは大いに起こりうると思います。
それではマーカーを使用することは勉強に効果がなく、無意味なことなのでしょうか。
使用方法によっては、効果的な面もあると私は考えています。
2.色のイメージで効率的に記憶
大事なところにマーカーを引くという作業は、勉強をする上であまり効果がないかも知れません。
教科書には必要なことが網羅的に書かれているようなことが多く、教科書に書いてあることはすべて大事なところだとも言えるため、その中でさらに重要な部分にマーカーを引いて目立たせる作業に時間を使うのであれば、その時間を使って教科書をすべて理解する方が勉強としては正しいと思います。
ただ、暗記の場合には話が変わってくると思っています。
まったく色のない文章と、ルールに則って色付けされた文章があったとします。
どちらが覚えやすく、また思い出しやすいでしょうか。
下記の例は、例外を青、等を赤丸で囲むというルールに則った文章です。
いかがでしたでしょうか。
馴染みのない文章であれば、後者が覚えやすく、また思い出しやすいと感じるのではないでしょうか。
時間が経過すると、「青が2箇所ぐらいあって、赤丸が4つあったかな?」ぐらいになるのかも知れませんが、それでもこの規定の一部分をしっかりと覚えることができます。
このように色と記憶を結びつけることで、暗記などの作業においては効率がアップします。
マーカーを使用する際には、大事な部分にマーカーを引くというよりも、体系立てて理解する、覚えるといった使い方が効果的です。
3.まとめ
マーカーを引くといった作業だけでは高い学習効果が得られるようなものではありませんが、暗記などの作業においては効率的に使用することで効果が得られるものだと思います。
上手にマーカーを使用していき、高い学習効果を得られるようにしていきましょう。
たばこ価格の天井は?(JT、たばこ値上げ 天井迫る?)
本日の気になった事柄です。
日本経済新聞の10月2日の朝刊・企業面に『JT、たばこ値上げ 天井迫る』という記事がありました。
内容としては、たばこ価格とJTの業績の関する内容のものでした。
10月になり、色々なものが値上がりしました。
・たばこ
・新ジャンル(第3のビール)
・ワイン(果実酒)
逆に値下がりとなったものもあります。
・ビール
・日本酒、「紹興酒」
値上げ前には駆け込み需要が生じ、値上げ後しばらくは需要が冷え込みます。
このたばこの値段についてですが、主要銘柄の値段は500円を超えているそうです。
非喫煙者なのでこの500円の価値があるのかわからないところではありますが、高級な嗜好品という部類に入るようなものなのではないのでしょうか。
500円あれば、いつものランチでちょっとランクをあげて注文する、高級パン屋さんでパンを買う、スタバのドリンクにトッピング、ハーゲンダッツを買う…などいくらでもプチ贅沢ができそうです。
このように500円でできることは結構多いように思います。
それを毎日一箱消費していくと考えた場合、年間の支出額は約18万円となります。
大卒初任給20万円と言われるこの日本では、非常に高価な嗜好品になると考えられます。
そんなたばこについてですが、喫煙者はいくらの値段となればたばこを止めるのでしょうか。
記事によると、JTはたばこの弾性値を0.3~0.4と見積もっているようです。
弾性値ですが、これは価格変更でどれだけ需給が変わるかの指標で、弾性値が0.3~0.4であれば、10%上げても客離れは3~4%にとどまるという意味になります。
普段の生活から考えると、この数値は非常に低く感じます。
代替が利くような商品であれば、値段が変更になれば、消費者の動向は大きく左右されるものだと思いますが、これはたばこという依存性が強く、代替が利かない商品だからこその数値であると思います。
海外の動向を見ても値上げとこれに伴う消費者離れというトレンドのようで、売上と営業利益の約9割をたばこで稼ぐJTにとってこの値段のコントロールは非常に重要なものとなります。
これだけ一つの事業に依存していて、かつ、税という自社でコントロールできない部分を事業のリスクに抱えているのであれば、有価証券報告書にはどのように記載しているのでしょうか。
【事業等のリスク】(1)当社グループの事業及び収益構造並びに経営方針に係る事項
【事業等のリスク】(2)当社グループのたばこ事業に係る事項
やはり想像していた通り、非常に独特な内容となっているようです。
投資先としても非常に人気のJTですが、これからの成長には既存市場の安定がかかせないといえるのではないかと思いますので、今後もたばこ価格やたばこの需給については興味を持って注視していきたいと思います。
資本的支出と修繕費のフローチャートによる判定
経理実務において頭を悩まされる論点の1つである資本的支出と修繕費の判定。
資本的支出となれば固定資産計上となるため、可能であれば費用計上となる修繕費で処理をしたいですが、修繕費として処理をしていて税務調査で指摘を受けるような事態は避けたい…このように悩みながら処理されている方も多いかと思います。
このページではこの資本的支出と修繕費の内容、そして実際のフローチャートを紹介しています。
「資本的支出と修繕費の区分がわからない。」
「資本的支出と修繕費の区分を知りたい。」
という方に向けて記載している記事となります。
ぜひ日常業務の参考にしていただけましたらと思います。
1.資本的支出とは
まず、資本的支出の意義を確認していきましょう。
資本的支出とは、修理等いずれの名義をもってするかを問わず、保有する固定資産について支出する金額で、①使用可能期間の延長、②価値の増加に該当するものをいう。新規資産の取得とは区別されており、新規資産の取得は量的支出(建物の増築・構築物の延長等)、資本的支出は質的支出(用途変更のための模様替え・新たな機能の付加等)を想定しています。資本的支出は、その支出を固定資産として計上し、固定資産の減価償却費として当期以降の損金に算入します。
資本的支出の例示として国税庁HPで紹介されているものは次の通りです。
①建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
②用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
③機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
③に該当するような場合には、通常の取替費用(同等の品質等の部分品と取り替えた場合の費用)と実際に掛かった費用との差額を資本的支出として適正に区分する必要があるため、通常の取替費用に係る見積書等を入手し、保管しておく必要があります。
2.修繕費とは
次に、修繕費の意義を確認していきましょう。
修繕費とは、固定資産の修理、改良等のために支出した費用で、①固定資産の通常の維持管理のため、または②き損した固定資産につきその原状を回復するためのものをいう。通常の維持管理費と原状回復費の2つが修繕費に該当します。修繕費は、その支出を一時費用として計上し、当期の損金に算入します。
修繕費の例示として国税庁HPで紹介されているものは次の通りです。
①建物の移えい又は解体移築をした場合におけるその移えい又は移築に要した費用の額
②機械装置の移設に要した費用(解体費を含む。)の額
③地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額
④建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額
⑤現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
蛍光灯をLEDランプへ取り替えるケースが実務ではよく見られます。これは一見すると節電効果などもあり、固定資産の価値を高め、耐久性を増しているとして、資本的支出に該当するのではないかと考えることができそうですが、LEDランプは建物附属設備である照明設備がその効用を発揮するための1つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備としての価値等が高まったとまではいえないと考えられるので、取替費用の全額を修繕費として処理します。ただし、建物附属設備についての工事が行われている場合、その費用は建物附属設備の改造費用として資本的支出に該当することが考えられます。
また、既存のソフトウエアについて、法令の改正に伴い、原状の効用を維持するために対応する不可避的な費用(マイナンバー制度導入時の個人番号プログラム追加費用など)についても修繕費として処理します。
3.フローチャート
ここまで資本的支出と修繕費の意義や例を紹介してきましたが、日常業務ではフローチャートによる判断が有効となります。
資本的支出か修繕費かで迷う場合には、下記フローチャートで判断しましょう。
(補足)
20万円未満または周期の短い費用であるか⇒周期については、おおむね3年以内の周期で修理や改良が行われている場合は短いとされています。
前期末取得価額のおおむね10%以下か⇒ 前期末取得価額は「原始取得価額+前期末までに支出した資本的支出の額」で判定します。(帳簿価額(未償却残高)は関係ありません。)
4.さいごに
資本的支出と修繕費のフローチャートによる判定を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
まずはこのフローチャートによる判定を行い、判断に迷うようなものがあれば、資本的支出と修繕費の意義に照らして、その実態により判断を行っていくような流れとなります。
当初においては、1つ1つの判断に時間がかかることも多いですが、しっかりと悩みながら判断していきましょう。
その悩んだ経験が、次回の判断ではきっと役に立つはずです。
経理のプロフェッショナルへの道に近道はありませんので、一歩ずつ着実に前に進んでいきましょう。
個別対応方式の用途区分(賃料収入は”副産物”?実態を踏まえ客観的な諸事情に基づき認定)
本日の気になった事柄です。
税務通信において、以前に当ブログでも取り上げました入居者付きの転売用不動産に係る課税仕入の用途区分について争われた事件の記事がありました。
まずは、こちらの争いの経緯について簡単に説明します。
原告のビジネスモデルは、収益不動産を仕入れ、その資産価値と収益力を向上させる「バリューアップ」と呼ばれるリノベーション等を行った上で、その不動産を転売するものでした。
※ 入居者付マンションであるため、販売までの期間に賃料収入が発生
用途区分に係る判断は、仕入れ日を基準に行います。
原告側は転売用不動産の仕入れを「課税売上対応」に区分し、その消費税額の全額を控除して申告しましたが、税務当局は販売に要するものであるとともに、住宅の貸付けにも要するもので「共通対応」に区分されると指摘し更正処分等を行ったため、原告はその取消しを求め提訴していました。
結果は、「事業者が将来におけるどのような取引のために課税仕入れ等を行ったのかを認定して行うべき」との指摘で、事業者の”業務実態”、”過去の同種の課税仕入れ等や取引内容”など、仕入れ日に存在した客観的な諸事情に基づき認定するとされ、収入割合(本件では不動産の販売収入と賃料収入の総和にたいして平均で5%未満にとどまる)などの点から経済実態を踏まえ、「課税売上対応」とされました。
同様の転売用不動産の用途区分が争われた事件では、税務当局の主張が認められ「共通対応」と判断され、納税者が敗訴したものもあるようで、今後同様の処理を行う場合には、収入割合やビジネスモデルなどの実態を考慮して判定する必要があるため、実務への影響が懸念されています。
今後もこちらの事件については、注目をしていきたいと思います。
外国子会社配当等の益金不算入額(税理士試験、法人税法)
外国子会社配当等の益金不算入額のまとめです。
実務では租税条約の有無などを確認して処理を進めていく必要があるかと思いますが、試験では指示通り処理すればOKです。
1.回答例
[外国子会社配当等](実額法)
(1)配当等
①配当等 XXX
②損金算入配当 ①✕XXX(損金算入額)/XXX(配当等の総額)=XXX
③①-②=XXX
(2)控除
(1)✕5%=XXX
(3)不算入
(1)-(2)=XXX
[外国源泉税等]
XXX-XXX(損金算入配当に対応する部分)=XXX
[外国法人税]
XXX+XXX(損金算入配当に対応する部分)=XXX
[控除税額]
(2)限度 XXX(差引法人税額)✕XXX(※)/XXX(所得金額)=XXX
(※)①XXX(国外所得金額)+(XXX(外国子会社配当等(1)①)-XXX(外国子会社配当等(3))
②XXX(所得金額)✕90%=XXX
③①<② ∴①
(3)(1)<(2) ∴(1)
2.メモ
(制度の趣旨・成り立ち)…国外所得免除方式による国際的な二重課税の排除
(外国子会社)
・内国法人が外国法人の発行済株式等の25%以上の株式等を、配当等の支払義務が確定する日以前6月以上引き続き直接に有している場合のその外国法人
(出題されるパターン)
・実額法のほか、原則法での出題も存在する→損金算入配当であるため、外国子会社配当等の益金不算入の適用なし(コメント)
(関連する調整項目)
・外国子会社配当等に係る外国源泉税等の損金不算入額 XXX(別表四 加算社外流出)
・法人税額から控除される所得税額 XXX(別表四 加算社外流出)…源泉徴収外国税額を除く
・税額控除の対象となる外国法人税の額 XXX(別表四 加算社外流出)
・外国子会社配当等のの益金不算入額 XXX(別表四 減算社外流出※)
・控除税額 XXX(別表一(一))
特別分配金(税理士試験、法人税法)
特別分配金のまとめです。
意味さえ理解しておけば短時間で正解が可能ですので、本試験で出題されることがあれば、確実に正解すべき問題となります。
1.メモ
(特別分配金)
・分配金が支払われた際、分配落ち後の基準価額が個別元本を下回る部分に相当する金額
(取扱い)
・特別分配金は元本の払い戻しに相当する部分とみなされるため、法人税法上、収益計上はされず、受益権の帳簿価額から特別分配金相当額を減額する
(出題されるパターン)
・受益権の帳簿価額から特別分配金相当額を減額せずに収益計上しているケース→有価証券認定損(別表四 減算留保)
(関連する調整項目)
・有価証券認定損 XXX(別表四 減算留保)