サラリーマンAのブログ ~手に職と、ハッピーリタイアを求めて~

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GoToトラベルの経理処理

更新 2020/11/17

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政府の観光支援事業として始まったGoToキャンペーン。

10月より東京都が発着の旅行も対象とされたため、利用がさらに増加すると見込まれます。

このような中で、会社の出張など、旅行とは異なるものであってもGoToトラベルは利用できていましたが、11月6日以降の販売分よりビジネス出張を目的とする宿泊などのGoToトラベルの利用を制限するための措置が講じられました。

ただ、この11月6日より前の販売分については、出張として利用することが可能となっています。

この記事では、GoToトラベルの経理処理について紹介していきます。

 

 

1.GoToトラベルの補助の仕組み

 

まず、経理処理の前に、このGoToトラベルの補助の仕組みについて確認していきましょう。

GoToトラベルは、旅行業者等経由で、期間中の旅行商品を購入した消費者に対し、代金の1/2相当分のクーポン等(宿泊割引・クーポン等に加え、地域産品・飲食・施設などの利用クーポン等を含む)が付与される(最大一人当たり2万円分/泊)ものです。

旅行会社などを経由してこの制度を利用することで、利用者は旅行代金から補助金分を差し引いた金額を支払います。

一見すると利用者が旅行代金から補助金分を差し引いた金額を支払っているため、旅行代金が値引きをされているように見えますが、あくまで旅行代金の一部を国が補助する仕組みであり、旅行代金が値引きされているものではありません。

経理実務では、この補助金分の取扱いが論点となります。

 

 

2.GoToトラベルの経理処理

 

旅行代金33,000円(税込)で、旅行会社に21,450円支払うケースを例にとり、確認していきましょう。

現金に着目をして仕訳を考えると、次のような仕訳となります。

旅費交通費  19,500/ 現    金 21,450

仮払消費税等   1,950/

ただ、これは正解ではありません。

あくまでも値引きされているのではなく、旅行代金の一部を国が補助しているだけであり、旅行代金の全額が消費税の課税対象となります。

そして、この部分を仕訳に反映する必要があります。

そのため、旅行代金の全額が消費税の課税対象となるようにすると

旅費交通費  30,000/ 現    金 21,450

仮払消費税等   3,000/ 雑   収   入 11,550

という仕訳となります。

旅行代金の全額が消費税の課税対象となる点がポイントになります。

 

また、これは旅行代金だけの取扱いではなく、地域共通クーポンの利用についても同様となります。

地域共通クーポン3,000円を利用して、手土産代として5,400円(税込)支払うケースを例にとり、確認していきましょう。

旅行代金と同じく全額が消費税の課税対象となるようにすると

交際費等     5,000/ 現    金 2,400

仮払消費税等     400/ 雑   収   入 3,000

という仕訳となります。

地域共通クーポンを利用した場合においても、その代金の全額が消費税の課税対象となる点がポイントとなります。

 

 

3.給与課税の問題

 

GoToトラベルの補助の仕組みについて紹介してきましたが、こちらは国からの補助となります。

そのため、この補助部分が経済的利益に該当し、給与課税の問題が生じるのではないかという問題があります。

結論として、給与課税の問題は生じないと考えられます。

実費弁償的性格に基づく給与所得者の出張旅費、転勤旅費などは所得税法上の非課税所得として規定されています。

この非課税所得となるためには、通常必要であると認められるものでなければなりません。

そのため、その出張が通常必要であると認められるものであればこの給与課税の問題は生じないとされています。

出張旅費規程の範囲内で行われることが一般的だと思いますので給与課税の問題は生じないと考えられますが、著しく高額な出張などの場合には、こういった給与課税の問題が生じる可能性があります。

 

 

4.まとめ

 

GoToトラベルの経理処理について紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。

原則の処理は記載した通りですが、実務では簡便的に補助金分を差し引いた金額で処理をする会社もあるのではないでしょうか。

この金額での処理を課税仕入れ側という目線で考えると、本来仕入税額控除で3,000円の控除があったところを1,950円として計算するため、法人不利な結果となり、税務調査などで指摘を受けることはないかと思います。

指摘を受けることはないとはいえ、本来の金額より仕入税額控除の金額が小さくなってしまいますので、実務での煩雑さはあるとはいえ、原則通りしっかりと処理をしたいところです。

経理実務としては、あるべき処理を踏まえた上で、日々の処理を進めていきましょう。