サラリーマンAのブログ ~手に職と、ハッピーリタイアを求めて~

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オーバーホールの経理処理(修繕費?それとも資本的支出?)

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機械については、定期的に点検作業をしながら使用されていきます。

ただ、定期点検だけでなく、オーバーホールという機械を部品単位まで分解して清掃などを行い、新品時の性能に戻すような作業も一般的によく行われています。

今回はこのオーバーホールの経理処理について紹介します。

「オーバーホールってなに?」

「オーバーホールの費用はどう経理処理すればいいの?」

と疑問を感じている人に向けての記事になります。

オーバーホールの経理処理を確認して、正しく処理を行いましょう。

 

 

1.オーバーホールとは

 

オーバーホールとは、英語の「overhaul」を語源とする言葉で、機械製品を部品単位まで分解して掃除や調整等を行い、再度組み立てて新品時の性能に近づけるようにする作業や点検をいいます。

機械を細かく分解するため、多くの手間と時間がかかり、発生するコストも高くなることが多いですが、部品単位まで分解を行うため部品単位の点検、交換ができるようになり、通常の点検作業では行われていない項目を補うことができます。

導入時に高額なコストが発生することが多い機械装置ですが、このオーバーホールを行うことで、導入時以下のコストで、新品時の性能を得られるため、コスト面でメリットがあります。

業務用の機械装置以外でも、このオーバーホールは行われています。

身近なものとしては、機械式腕時計やカメラ、楽器などでもオーバーホールが行われています。

 

 

2.オーバーホールの経理処理

 

オーバーホールの経理処理ですが、一般的に修繕費となります。

ただし、これはオーバーホールが通常の維持管理や原状回復の範囲内で行われた場合に限ります。

修繕費の意義については、法人税法基本通達7-8-2に修繕費に含まれる費用の意義と例示が示されています。

 

(修繕費に含まれる費用)

法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。

① 建物の移えい又は解体移築をした場合におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。

② 機械装置の移設に要した費用(解体費を含む。)の額

③ 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。

 イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合

 ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合

 ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合

④ 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。

⑤ 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額

 

こちらが修繕費の意義となりますので、オーバーホールが通常の維持管理や原状回復の範囲内で行われた場合には修繕費として処理することとなります。

 

 

3.耐用年数を経過した資産についてした修理、改良など

 

「通常の維持管理や原状回復の範囲内で行われるものかどうかが判断基準となる」と記載しましたが、耐用年数を経過した資産についての取扱いも確認していきましょう。

元々の耐用年数が10年の資産にオーバーホールを行い、15年使うことができるようになれば、耐用年数の向上となり修繕費ではなくなる のでしょうか?

耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等の取扱いについては、法人税法基本通達7-8-9に示されています。

(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)

耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出した費用の額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。

 

耐用年数を経過した資産であっても、あくまでも判断は通常時と変わらずに、その費用の性質で判断することとなります。

原状の効用を維持するために必要なものとして発生する不可避的な費用や、反復性及び予測可能性という性質が認められるものは、実際の使用可能期間が延長されたかどうかではなく、その費用の性質により判断されます。

実際に、耐用年数を経過した資産のオーバーホール費用(分解、修理、点検、整備、部分品の交換)は、部分品の交換が品質や性能の高いものに取り替えたものでない限り、全額を修繕費でよいと判断がなされた事例もあります。

判断が通常時と変わらないのであれば、フローチャートによる判定も有効となります。

金額で判断できるようなものであれば判断に悩まないのですが、オーバーホールは金額が高価なこともあり、金額で判断することが難しいケースが多いです。

その際には、あくまでも実態で判断することになりますので、しっかりと実態を確認しましょう。

 

 

4.さいごに

 

オーバーホールの経理処理について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

オーバーホールと一言でいっても、その内容は様々なケースがあります。

機械を分解して清掃し再度組み立てを行っただけなのか、それとも部品の交換も行い、その結果機能がアップしたのか…

まずは、その実態を確認することが重要となりますので、実態を確認し、それに沿った処理を行っていきましょう。