サラリーマンAのブログ ~手に職と、ハッピーリタイアを求めて~

30代サラリーマンの業務や自己啓発の記録、世の中の気になる事柄についてのブログです。

個別対応方式の用途区分(課税取り消し 国税敗訴)

本日の気になった事柄です。

 

日本経済新聞の朝刊に『中古マンション転売 消費税は…』という記事がありました。

 

内容としては、中古賃貸マンション売買時の消費税に関する税務処理で争われていた訴訟で、東京国税局の課税処分を取り消す判決を言い渡したというものです。

 

このような訴訟があったということも知らなかったので、どういった争点で争われているのかが気になりました。

 

争点としては、「仕入税額控除」で消費税を差し引くことができるかどうか、というものであったようです。

 

仕入税額控除」については、課税売上高や課税売上割合に応じて、「全額控除方式」、「個別対応方式」、「一括比例配分方式」という計算方法が存在します。(「簡易課税制度」による「仕入税額控除」の計算方法も存在します。)

 

今回の事例では、この「個別対応方式」での計算方式における「用途区分」が争点となりました。

 

「個別対応方式」における「用途区分」というものは、下記の3つが存在します。

・課税売上対応→全額控除する

・非課税売上対応→控除しない

・共通対応→課税売上割合に乗じた分を控除する

 

「用途区分」は、課税仕入れを行った日において「その課税仕入れが、どの売上げ(課税売上げ・非課税売上げ・それ以外)のために行ったものなのか?」という用途により判定をします。

 

今回の事案で、不動産会社は中古マンションを仕入れし、その後販売を行いました。

 

不動産会社側は、あくまでも販売目的での仕入れであり、仕入れから販売までの期間における家賃収入は副次的なものに過ぎないため、全額控除できるものとして申告を行いました。

 

これに対し東京国税局側は、家賃収入も事業の目的の一つで、全額を差し引く処理はできないとして申告漏れを指摘しました。

 

判決では「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘し、国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけました。

 

今回の訴訟では、国税局側が敗訴という結果となっていますが、この家賃収入の規模であったり、一連の販売までの流れが異なるような場合では、全額控除が認められないケースも存在するかと思います。

 

そうはいってもやはりこの判決の影響は大きいようで、同様の課税処分は全国で行われており、「判決が確定すれば、不服の申立などが相次ぐ可能性もある」などの国税OBの発言もあるようです。

 

今回の事例のような事案については、細心の注意を払い、業務を進めていきたいと思います。